道徳武芸研究 中華国術教材における形意、八卦、太極拳(2)

 道徳武芸研究 中華国術教材における形意、八卦、太極拳(2)

国術教材として中央国術館で編纂されたものとして知られている拳術に八極拳がある。これはかつて李元智によって台湾にも伝えられた。この八極拳について劉雲樵などは「八極拳の本質を失っている」などと評していたらしいが、国術教材の編纂方針としては「門派にとらわれない」ということがあったので、そのため八極拳の特徴はより明確に強調されると共に、本来は秘伝とされるような種々の秘訣が教科書的にに盛り込まれることになった。こうしたこと(本来はいくつもの套路を学習して段階的に取得されるべきものをひとつの套路に集約してしまった)により本来の八極拳そのものの風格は変質している部分のあることは否めないが、ある意味ではより進化したともいえるものとなっている。こうした新たな国術教材の編纂は日中戦争が激化して行ったこともあり、どこまで進められたのかは明らかではなく編纂過程など具体的なところは分からないところも少なくない。陳ハン嶺が伝えた形意拳や八卦拳、太極拳にしても誰がどのように関わって編纂されたのかは明確ではない。そうした歴史的経緯はともかくとして現在「中華国術教材」としての形意拳、八卦拳、太極拳はいわゆる形意拳や八卦拳、太極拳をそれぞれ学ぶのではなく、八極拳と同様に個々の拳術が持つ「動きのエッセンスとしての原理」を学ぼうとする方向で学習を進めるべく編纂されている。


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