道徳武芸研究 道芸と武芸を分けるもの〜腰帯から考える〜(4)

 道徳武芸研究 道芸と武芸を分けるもの〜腰帯から考える〜(4)

通臂拳を始めとする少林拳では套路を行う時に息を止めて行うこともある。息を止めることで早く動くことができるからである。こうした套路は大体が三十動作くらいであるから30秒もかからないで終えることができるので、息を止めて行うことは不可能ではない。ただ套路を終えた後は完全に息があがってしまう。こうした鍛錬は武術的には意義があるが、健康面では好ましくないとされる。こうした無理な鍛錬は「結婚する前まで」とされることが多い。かつての社会における「結婚する前」というのは、大体二十代の中半くらいであろうから、これは大体において青年期の終わりといえる年でもあり、壮年期となって体の衰えが始まる前でもある。中国武術では青年期までを「鍛」の時期、壮年期は「錬」の時期、そして老年期は「養」の時期としている。腰帯を用いた鍛錬は体に負荷をかけることもあり、よく自分の心身の状態と「武芸」「道芸」といったどのような功を得たいのかを考えて行う必要があるであろう。


このブログの人気の投稿

道徳武芸研究 八卦拳の変化と蟷螂拳の分身八肘(8)

道徳武芸研究 改めての「合気」と「発勁」(6)

道徳武芸研究 八卦拳から合気道を考える〜単双換掌と表裏〜(4)