道徳武芸研究 「四把捶」というう秘伝(2)

 道徳武芸研究 「四把捶」というう秘伝(2)

四把捶という名からは「四動作の套路」という意味が読み取れる。形意拳では「中段突き」「回身」「手を下へ差し込む」「手を上へ跳ね上げる」の四つの動作がそれに当たる。その前には鶏形とその後に三体式が付いて鶏形四把の套路となる。つまり鶏形四把は他の形意拳の套路と同じく、三体式から始まり、三体式で終わるという構成になっている。そうであるなら何故、鶏形が四把に付されたか、という疑問が出てくる。心意六合拳では「鶏形」を付しては四把捶を言わないが、形としては類似のものを見ることができる。鶏形については後に論ずるとして、要するに四把の奥義は「回身」にあることを先に述べておこう。現在、五行拳にも十二形拳にも回身式はあるが、かつて形意拳には回身式はなかったとされ、これが充実したのは八卦拳の影響であるといわれている。八卦拳により扣歩が取り入れられて五行拳や十二形拳に回身式が付けられたのである。興味深いことに形意拳の系統の八卦掌では擺歩は殆ど見られず、主として扣歩が練られている。これは五行拳や十二形拳の回身式でもっぱら擺歩を使うことでも明らかである。


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