道徳武芸研究 変容する太極拳〜無為自然〜(4)
道徳武芸研究 変容する太極拳〜無為自然〜(4)
変容した太極拳が持つおもしろさもは、意図しないところにある。それは「無為自然」の中から生み出された、とすることもできるであろう。こうした「変容」は何も名人だけではなく誰にでも起きることなのであり、そうした「変容」を楽しむこともできるであろう。また太極拳だけを修練していても、その人の「性(本来の心のあり方)」が自然に太極拳の動きにも反映されて「変容」が生まれることになる。これが静坐などで重視される「性命双修」である。ちなみに「命」は「本来あるべき体の働き」のことで、そうした本来的なものすなわち自然なものを取り戻すことが武術や静坐のおおきな修行の眼目なのである。そうであるから「変容した太極拳」は当然、出現してしかるべきものなのである。