道徳巫覡研究 「武」と「舞」の身体文化(3)

 道徳巫覡研究 「武」と「舞」の身体文化(3)

すでに見てきたように「地域の身体文化」として「舞」と「武」に共通するものを見出すことは可能であるのであるが、こうした認識が持たれるようになったのは近代以降で、その根底には文化的に「舞」の方が「武」よりも高いとする考え方がある。そのため現代では武術家が音楽などに合わせてパフォーマンスをすることもあるが、そこに「芸術性」を見ることは難しい。それは武術の形が全くの実用によるのであり、その「芸術性」もそこに起因しているからである。そうしたところに何らかの(例えば音楽のような)装飾的な要素が入ると、それはむしろ武術の「芸術性」を高めるのではなく、武術の持つ「機能美」を損なってしまうことになるわけである。つまり舞踊と武術では、その芸術表現の基盤が全く違っているわけであるから、武術を舞踊的に演ずることに何らの意味もないわけである。


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