道徳巫覡研究 「武」と「舞」の身体文化(2)

 道徳巫覡研究 「武」と「舞」の身体文化(2)

本部御殿手では「舞」と「武」の共通性を説いているが、そこで示されているのは実質的はに八光流の合気の手であり、琉球舞踊と直接的な動きの関連性を見ることは難しい。ただ地域や時代の身体文化ということであれば舞踊と武術は、ひとつのカテゴリーに入るものであるので、そこに類似を見ることは可能であろう。とりわけ交通、情報の流通が盛んでなかった時代には地域ごとに特色のある生活形態が維持されていた。そうした中に身体文化というべき「所作」も独特のものが育まれていたのであった。例えば心眼流には「ムクリ」という相手を一回転させる技法があるが、これと共通する身体文化には岩手に伝わる鬼剣舞(おにけんばい)にカニムクリという舞がある。これも相手の体を一回転させる動作で、背中合わせの二人が回転を続けるものである。心眼流は仙台藩を中心に伝承されたようであるが、ムクリといった東北に伝承された身体文化の中にそれはあったわけである。つまり「武」と「舞」との共通性をいうならば身体文化というかなり広い視野に立たなければならないのであって、「舞」を練習しているから「武」も使えるといったレベルではないことは明らかである。


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