道徳武芸研究 易と太極拳(4)

 道徳武芸研究 易と太極拳(4)

太極拳つまり張三豊の創始した十三勢の根本は「静」にある。これを王宗岳は言いたかったのであろう。十三勢はただ十三の動き「ホウ、リ、擠、按、採、肘、レツ、靠、中定、進、退、右眄、左顧」が並列的にあるのではなく、それらは全て「静」によって生み出されている。そうであるから太極拳はゆっくりした動きで練るのであり、この点が他の武術と大きく相違するところなのである。一方で陳家砲捶は速く動くことを修練しようとする。これは王宗岳の考えた太極拳とは全く違っている。そこで陳キンは「螺旋」ということに目を付けた。そして螺旋の動きは、その中心は動きが少ないので、これを「極陰(陰陰陰 陰陰陰)」として、次第に渦が広がるにつれて運動が活発化して行くとして、それを易の次第に陽が生まれていく過程と等しいとする。そうして易は陳家砲捶の纏絲勁を表していると証明しようとしたわけである。


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