道徳武芸研究 易と太極拳(1)

 道徳武芸研究 易と太極拳(1)

陳キンの『陳氏太極拳図説』は、その初めのかなりの部分を使って「易」の解説をしている。これを奇異に思う人も多いが、人々の関心は主としてそれに続く技術解説の方にあって、徳には「易」の解説が注目されることはないようである。しかし、陳キンがここで述べたかったのは実に「易」の部分にこそあったのである。それは「陳家砲捶」を「陳家太極拳」にするための理論構築をここで行っておきたかったからである。太極拳は本来は張三豊かにより創始された「十三勢」が元なのであるが、後に王宗岳が出てこれを太極拳と称するようになる。それはまた蒋発によって陳家溝に伝えられ、その教えが陳長興を通して楊露禅に学ばれ、北京で太極拳として知られるようになるのである。そうした経緯により陳キンは「太極拳」の源流としての「陳家砲捶」を「太極拳」として位置付けることができると考えたのであろう。そしてその鍵となったのは「螺旋」の動きつまり「纏絲勁」であった。


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