道徳武芸研究 中国武術の「秘訣」の世界(5)

 道徳武芸研究 中国武術の「秘訣」の世界(5)

日本の武術のように、ただ「口伝あり」とするだけではなく、あえて「口伝」を言語化する努力を中国武術では行っているわけであるが、これを学習効果ということから言えば、字訣を得てから何年か後に気づくことのできることができる利点も認められる。長く練習をして心身の状態が整って来た時に初めて字訣の本当の意味が理解できるようになることが往々にしてあるわけである。これは一般的にも難しい問題を解決する時に「置いておく」「寝かしておく」ことの重要性が説かれることでも分かろう。解決の難しい問題はそれだけを集中して考えても、なかなか良い解決策は得られない。一旦、それを離れて視野を大きく取ることで関係ないと思っていたようなところに意外な解決法が見出されることもある。このように武術の修行でも心身の状態が変化することで新たな視点が獲得され、字訣の示すことが理解されることもあるわけである。


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