道徳武芸研究 大東流の「伝承」について(11)

 道徳武芸研究 大東流の「伝承」について(11)

よく大東流や合気道では人差し指だけを捕ませて相手を投げるパフォーマンスが行われるが、これも一種の「一指禅」ということができる。こうしたことを可能にするには多少なりとも指の感覚、そしてそれを通して相手の心身の状態を知ることのできる感覚が開けていなければならない。こうした心身の状態を「瞑想的な状態=禅」と称するわけである。これを指を使ってのパフォーマンスから我々は「指」そのものが重要であると勘違いしてはならない。実際こうした感覚は基本的には坐っての鍛錬法である「御信用之手=合気上げ=呼吸法」によって開くことが可能となる。おそらく西郷頼母は「御信用之手」をある種の秘教を伝える「まれびと」から得たのであろう。そしてその「まれびと」と武田惣角をつないだのであろう。惣角はそうした「まれびと」からいくつかの柔術技を学んだ。これを基に技を増やして行く一方で「まれびと」からは伝書が作られ続けていった。もし秘教を伝える「まれびと」の伝承がいまだに生きているなら、その実態を知ることができるのはまだ先になるのかもしれない。


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