道徳武芸研究 「合気」を定義してみる(3)

 道徳武芸研究 「合気」を定義してみる(3)

「合気」の説明演武でよく聞かれるのは「しっかり持ってください」という言葉であろう。手を掴ませた相手に更に力を込めて掴むように促すわけであるが、普通はこれにより掴まれた方は不利になると思われる。そして、そうした状態で相手を制することで技の優越性が示されるのであるが、実際はそうではなく、そうした方がむしろ有利な状態となるのが「合気」を理解する鍵でもある。ただ手を掴ませた場合は、大体において親指と人差し指に力を入れて掴んでいる。しかし、これでは相手の手首の固定化は充分ではない。そこで更に力を入れるように促して小指も使わせる。そうなるとより手首は固定されてしまう。また小指に力を入れることで肘も固定される。この肘の固定は実は重要で、肘を固定させることで相手の体の中心軸に力を送ることが可能となるのである。また親指と人差し指に力が入っていると相手は自分の体勢を変化させることができない。加えて先にも触れたように小指に力を入れているので肘も固定されていて、こちらの力を相手の肩を通して体の中心に伝えることができる。こうした技術が合気上げの構造としてある。これ以外の手首を制することのない「合気」は「呼吸力」として区別した方が良いであろう。


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