道徳武芸研究 形意拳の歩法と連環性(6)

 道徳武芸研究 形意拳の歩法と連環性(6)

よく「形意拳は中間のない武術」といわれる。それは形意拳を練習している人の多くが「ひじょうにうまい」か「ひじょうにへた」であるかに截然として分かれるためである。実際のところ殆どの武術の練習者が到達するのが「そこそこ使える」という「中間」レベルであることを考えれば、形意拳の習得はなかなか難しい選択としなければならないのかもしれない。もし、よく「形意拳のシステムとしての構成」を理解して拳を練ったならば、多くの形を覚える必要もないので、ひじょうに効率よく功を深めることができる。こうした中で最も重要なことは「真伝」を得ることであることは言うまでもあるまい。これは形意拳に限らず中国武術では特に「真伝」ということが重視される。それは極論を述べるならば「中国武術において形式には意味がない」からに他ならない。連環拳であれば連環拳そのものの形に意味はないのである。そこで重要なのは「連環性の理論」を実際に身体のレベルで練って習得することである。これは鶏形四把でも明らかで、ここでの四把とは「横、挑、斬、捉」の四っの把法(用勁法)であるとされている。形意拳では四把に鶏形を冠していう場合が多いが、それは始めあたりの動作が鶏形に似ているからであることと、四把を「四動作」としたならば全体として動きが多すぎるので、始めの方を四把に鶏形を加えたものと解釈した結果あである。そうであるから鶏形四把という名称は適切とはいえない。


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