道徳武芸研究 形意拳の歩法と連環性(1)

 道徳武芸研究 形意拳の歩法と連環性(1)

形意拳の歩法には一般的な歩法の分類でいうならば「定歩、活歩、十字歩」がある。形意拳の歩法の特徴が継ぎ脚(跟歩)にあることはいうまでもなかろう。これは大きくは活歩に属するものであるが、形意拳独特の工夫がそこには含まれていて、形意拳では定歩と活歩とを同じ原理で行う。一般的な歩法の練習においては変化のない定歩で、基本的な姿勢を作ってから、実際の攻防に対するために間合いをコントロールする方途として活歩が教えられることになる。基本的に形意拳の歩法は活歩も含めて前進するだけであるので、これを有利に用いるためには跟歩を用いて一気に間合いを詰めて、相手に対応するすきを与えないようにする。この間合いは竹刀剣道と似ている。おもしろいことに半世紀くらい前の空手の試合ではこうした剣道に似た前後に間合いをとる歩法が多用されていた。しかし現在はボクシングのような左右前後に細かく移動する歩法が多い。それは「一撃必殺」で相手を倒すことよりも、当ててポイントを取るにはいろいろな角度から打つことの可能な歩法を使うこと方が有効であるためである。こうしたボクシング・スタイルに対して跟歩のような歩法は一撃の威力は大きいものの攻撃が失敗した時に反撃を受ける危険が非常に大きくなってしまう。


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