宋常星『太上道徳経講義』(16ー11)

 宋常星『太上道徳経講義』(16ー11)

「天」とは「道」である。

「王の徳」は、つまりは天の徳と異なるものではない。「王の道」は、天の道と等しい。王と天とは一つのものであることを知らなければならない。天は高くあるが道から外れているものではない。天は大きいが道の中に納まっている。天も地もすべて道によって成り立っている。万物はすべて道によって成り立っている。「常」なるものの奥義を知るならば、よくこうしたことが分かるようになるであろう。つまり、天、地、人、物これらはすべて道によらなくて存しているものではない。「『天』とは『道』である」とはこうした意味である。


〈奥義伝開〉ここで最初の「命」に復するとは「道」に復することであることが明かされる。それは普遍的な原理としての太極・陰陽観を深く理解することである。また老子が殊更に「天」つまり原理としての「王」を強調しているのは、この「王」は太極・陰陽の原理を理解すれば誰でもなり得るものであるためでもある。あらゆる善とされるものには悪が含まれている。悪とされるものには善がある。これをよく知ることでより良く生きて行くことができると考えるのが老子であった。人はどうしても世の風潮に流されてしまう。そうしたことには大きな危険のあることを老子は警告する。人は誰でも「王」とならなければならないのであり、生まれながらにしてそうでもあるのである。


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