道徳武芸研究 七星歩と玉環歩〜形意劈拳小考〜(1)

 道徳武芸研究 七星歩と玉環歩〜形意劈拳小考〜(1)

今回は形意五行拳の劈拳がなぜ他の五行拳と違って二動作で構成されているのかの解明を通して、中国武術における入身の歩法を七星歩と玉環歩に代表させて、入身の歩法がどのように形成されて行ったのかを考察をしてみたいと考えている。七星歩も玉環歩も共に入身の歩法である。七星歩は中国武術では広く知られた歩法で、多くの少林拳の門派でも練習されている。形意五行拳では砲拳にそれを見ることができる。具体的な方法としては左構えであれば、左足を半歩、斜め前に踏み出して相手の攻撃を避け、次に右足を相手の方に踏み出して入身を行い攻撃をする、というパターンである。一方、玉環歩は左構えで左足を一歩踏み出す。この時、つま先は開き(擺歩)、次いで左足を一歩踏み出して相手の背後に回り込むようにする。これは完全に後ろをとるのが理想であるが、なかなかそこまで深くは入れないことも多いので、実際は相手の斜め後方の死角に入ることができれば良いとする。こうした歩法は八卦掌の特徴とするものである。要するに七星歩は直線的な動きの入身の歩法であり、玉環歩は曲線的なそれであるということができるわけである。


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