道徳武芸研究 柔道、剣道と坐禅〜身体的な要求とシステム〜(8)

 道徳武芸研究 柔道、剣道と坐禅〜身体的な要求とシステム〜(8)

八卦拳には「八卦拳としての羅漢拳」と「八卦掌としての八卦掌」があるのであるが、八卦掌部分のみが形意拳に取り入れられて八卦掌として知られるようになる。そうなった理由としては形意拳にあっては「直」の技法は中国武術の最高峰ともいえる五行、十二形を既に有していたこと、また八卦拳を伝えた董海川が羅漢拳(八卦拳)を容易に伝えなかったことなどが原因していよう。董海川は静坐をよくしていたと伝えられており、ここでも「直(羅漢拳)」と「曲(八卦掌)」それに「坐禅(静坐)」の融合を見ることができる。形意拳では渾元トウから三才式などの静止した状態を保つ功法がいくつか考案されて静坐と拳術との融合が模索された。とりわけ形意拳では「道芸」として拳術である「武芸」一辺倒では形意拳は完成することはないことが強調された。こうしたことは古い時代の形意拳界の様子を記した李仲軒の『逝去的武術』でも詳しく書かれている。


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