道徳武芸研究 柔道、剣道と坐禅〜身体的な要求とシステム〜(2)

 道徳武芸研究 柔道、剣道と坐禅〜身体的な要求とシステム〜(2)

柔術が発展してくるのは近世になってからで、平安時代の終わり頃から発展を始めた剣術と比べれば柔術が求められる時代は遅かったといわなければならない。すでに『平家物語』の宇治川の戦いではいくつかの剣術の技法名があげられて派手な戦いが行われたことの演出の一助となっていることを見ても、古代にはすでに剣術の技法が確立されていて、それが意識的に修得されていたことが分かる。近世の柔術の始めは竹内流とされるが、その技法を見る限りでは小太刀の操法から生まれているとすることができる。古く日本の剣術では太刀が用いられていた。しかしこれは大きなもので、川中島の戦いで上杉謙信の急襲に武田信玄が太刀を抜くことはできず軍配で対応したエピソードで分かるように太刀は容易に抜けるものではなく、そのため林崎甚助が抜刀術を考案することになるのであるが、こうした問題を解消するひとつの方法として小太刀を使うこともあったようである。しかし小太刀で太刀をそのまま受けることはできない。どうしても入身を使って相手の中に入る必要がある。そこに柔術的な身法の必要が生まれることになる。竹内流のベースはこうしたところにあった。またこうした身法の応用が有名な竹内流の十手術となるわけである。


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