道徳武芸研究 太極拳における歩法と勢(7)

 道徳武芸研究 太極拳における歩法と勢(7)

かつて李香遠(楊家太極拳)は中国南方へ太極拳を教えに行く薹英傑に「高」の歩法の鍛錬を知らなければ、南方へ普及に行って試合をしなければならなくなった時に十分ではないことを指摘したとされる。これは膝を高くあげる歩法が、ひとつには大きな勢を生むものであり、また蹴りへの変化を可能とするものであることをいっているわけである。もちろん薹の伝えた套路にはそうした動きを見ることができる。「低」「中」「高」の歩法の鍛錬は修行者自身の鍛錬のレベルなどによって勘案して練られるべきであるが、こうしたことが適切に行われることによって初めて円熟した功が養われる。この場合、最も重要なことは動作における「勢」が散漫にならないようにすることである。こうして養われる「憩」が「勁」とされるもので、単純な筋力によるのではない、太極拳に独特の「ちから」を生み出すことが可能となる。


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