道徳武芸研究 太極拳における歩法と勢(2)

 道徳武芸研究 太極拳における歩法と勢(2)

近代以降、人や情報の交流が盛んになると陳家の「太極拳」と、楊家の太極拳が余りに違っていることに疑問が持たれるようになる。それについてはいろいろな理由が考えられて来ている。ひとつには「実戦的な部分を抜いた套路として教えた」とする見方もある。これは楊露禅が北京で宮廷の武官たちに教える時に異民族である満州族には正しい教えを与えなかったとするもので、多分に漢民族による「愛国」思想の影響を汲んでいる。しかし、武術を修練して来た者にとって、その動きが攻防に使えるかどうかを判断することは難しくはない。使えもしないエッセンスを抜いたゆっくりとした套路が、それでも広まったことを説明するには余りに無理がある。現在でも多くの「上達法」が数年で消えてしまうのも同様で、本当に効果のあるものでなければ長く広く伝承されることはないのである。


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