道徳武芸研究 形意拳の五行説(1)

 道徳武芸研究 形意拳の五行説(1)

形意拳の母拳となるのが五行拳である。五行は五行説によるもので、5つの要素(木、火、土、金、水)がぞれぞれが関係をして生み出したり(相生)、破壊してしまう(相克)とする考え方である。世界の成り立ちをこのように捉えることで、この世界の実相を知ろうとしたのであり、また次に何が起こるかをも予測できるのではないかと考えた。そうであるから五行説はあらゆるものに当てはめられるようになり、それは形意拳のように身体ばかりではなく、味や季節、色などにも五行をして配されるようになった。ただこうした傾向は夏は「火」であり、苦味も「火」であるから夏には苦いものを食べると良いなどという迷信を生むことにもなった。五行説はあくまで季節なら季節でそれぞれの位相関係を示すものに過ぎず、それを越えて何かをいうことは適当ではない。形意拳の五行説は身体においてそれを考えているのであって、それはつまり劈拳は「金」で「肺」と関係し、讃拳は「水」で「腎」、崩拳は「木」で「肝」、砲拳は「火」で「心」、横拳は「土」で「脾」とされる。もちろんこれは劈拳を練れば肺が整うというものではない。形意拳では「拳訣」と関係して五行拳に五行を配しているのである。


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