道徳武芸研究 八卦掌と暗器(6)

 道徳武芸研究 八卦掌と暗器(6)

「暗器」には相手を引き倒す他に「手裏剣」としての用法も重視されている。手裏剣は数メートルが射程範囲であるが、「暗器」の場合にはごく近い距離で投げて一定のダメージを与えることを目的とする。特に点穴針などは手裏剣そのものということができるであろう。点穴針は腰帯などに忍ばせておいて入身で相手の死角に入ったら下から上方向へ円を描くようにして相手に投げつける。さらに近くの密着したような状態であればそのまま刺せば良いし、反対の尖っていない方で打つことも可能である。このような変化に富んだ用法を確保することが「暗器」には必要なのであるが、一般に見られるような「鉄の指輪」のついている点穴針では使い物にならない。これは演武において点華針を回してその存在をアピールするためのもので、ただ点穴針を持っていたのでは見え難いためである。回転させてその武器のあることを演武を見ている人に知らしめるためであって、実戦からすればまったく逆の効果しかないことになる。また「指輪」があると点穴針が受ける衝撃が一本に指に集中してしまうことになりきわめて危険でもある。


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