道徳武芸研究 八卦掌と暗器(1)

 道徳武芸研究 八卦掌と暗器(1)

何故か八卦掌には「暗器」のイメージを持たれることが多い。一般的に中国武術では剣、刀、槍、棍が四大兵器(武器)とされるが、その中でも剣は最も霊妙であり、槍はその変化の多いことから兵器の王とされる。ただ近代までは剣の武器としての伝承は絶えていて、もっぱら道教の儀式で使われるのみであったという。これを武器として復活させたのは李景林の武当剣であるとされているが、太極拳でも「拳」の套路は楊、呉、武、孫でほぼ共通しているものの「剣」はまったくといって良いほど違っている。これは古い時代には「剣」の套路はなく、近代になってそれぞれの門派に別れて後にそうしたものが考案されていったことを証すものといえよう。一方、暗器は特定の門派に限って使われるのではなく、それが必要と考える人が使っていたのであり、定まった形というものもない。また套路なども存していない。最近の八卦掌では暗器の套路が編まれたりしているが、暗器に套路を作ってはならないことがまったく理解されていないようである。それは暗器が徒手の間合いで使われるものであるからに他ならない。


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