道徳武芸研究 台湾における八卦掌”熱”(2)

 道徳武芸研究 台湾における八卦掌”熱”(2)

日本に八卦掌を伝えたのは王樹金で、これは陳ハン嶺に学んだものである。王は八卦掌に興味を示して弟子の張一中からも張が習得していた八卦掌を弟子に学ばせ、そうしたものを自分も参考にして新たな八卦掌の套路を多く編んだ。張一中は一時期、日本にも居たが、この時に澤井健一が試合を求めて来たと聞いたことがある。ただ張はその必要を認めなかったらしいが、張の劫は深く、軽く掌で相手を打つとアザになる程であったという。ただその伝承は明らかではなく、後には王との仲も疎遠となった。また張俊峰が台湾で教えたものは台湾人である洪懿祥の系統が日本にも伝えられている。張俊峰は高義盛から八卦掌を得たが、これは現在は易宗八卦掌(他に太極拳、形意拳も含めて易宗拳と称される)として台湾に伝承があり潘岳がよく知らている。潘岳は欠けていた後天八卦六十四掌のいくつかの套路を大陸に行って学んでおり、早くから大陸の八卦掌を広く研究していた。潘岳とは台湾在住の時に出会ったことがある。中正紀念堂の公園で練習をしていると「八卦をやっているの」と声を掛けてきた。「誰から習っているの」などと聞かれて「套路をやっても使えない。先天勁が出るようにならなければならない」「若いころはケンカばかりしていた」などと言われていた。そして「機会があったら来なさい」と名刺をくれたが、それは名前の文字の部分が盛り上がっている凝ったものであった。


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