道徳武芸研究 発勁と呼吸(3)
道徳武芸研究 発勁と呼吸(3)
意拳の王向斉はその練習体系の中に「試声」をあげている。王向斉は本来は形意拳を修行していたが、形意拳では発声を「雷声」として重視していた。近代形意拳の名人である郭雲樵は「最近の形意拳では雷声が見られなくなった」と嘆いたとされる(姜容樵『形意母拳』)。ちなみに王向斉は「試声」で、試声は声を発することで全身の細胞を活性化するものであり、そうした状態において発せられた声は相手をして畏怖を感じさせるとする(『拳道中枢』)としている。つまり試声はただ大声を出すのではなく、内功に属するもので、これは必ずしも「フン」「ハッ」のような力のコントロールとは同じではないようである。王向斉が「試声」として武術において声を発することに特別の意義のあることを認めていたのは、形意拳においては発声を「雷声」として重視する伝統があったためと思われる。