道徳武芸研究 発勁と呼吸(2)

 道徳武芸研究 発勁と呼吸(2)

武術でいうと太極拳は「ハッ」が多様されるし、形意拳では「フン」が使われることが多いようである。それは太極拳においては掌を使うことが多く、形意拳では拳が多用されることでも象徴的に示されていると解することもできるであろう。「フン」や「ハッ」といった発声を用いて力を集中させることは日本の「古」神道では「言靈」と称されている。植芝盛平が大本教の「本部」に居た頃、大きな石を動かそうとして動かせないでいたら、出口王仁三郎が来て「植芝はん、これはウの言霊やな」と教えたので、盛平が「ウー」と発声して力を込めると動こかすことのできなかった大きな石を簡単に動かすことができたとされる。これは一般的にも力を入れる時には「ウーン」と声を発するので、何ら不可思議はない。自然に発せられる「ウーン」の中に、体内の力を呼び起こさせる要因として「ウ」という言葉に霊的な力があると考えるのが「古」神道の言霊である(これは本来の神道、古代信仰としての言霊とはまったく同じではない。「古」神道は近現代に新たに作られたものである)。このように確かに発声により力の集中をコントロールすることは可能である。


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