道徳武芸研究 発勁と呼吸(1)

 道徳武芸研究 発勁と呼吸(1)

中国武術の発勁には「フン(口に亨)」と「ハ(口に合)」があるとされる。これは発声による力の集中法である。また「フン」は短勁を発する時に用い、「ハッ」は長勁の時に用いられるともされる。或いは「フン」は拳で、「ハッ」は掌を多用するとされることもある。これは「フン」の方が、より体を緊張させて力を集中させるものであるとのニュアンスから来ている。またこうした呼吸の本源は「阿吽」であり、「阿」である「ハッ」は「阿」と同じく口を開いて発せられるし、「吽」である「フン」はこれも「吽」と同じで口を閉じて行われる。阿吽はインドに由来するもので、人は「阿」で生まれて息を吐き初め、最期には「吽」と息を引き取って終わるという。老子は生きるものは柔らかで、死ぬものは堅くなると教えているが、まさに「ハッ」は体を柔らかに使う時のものであるし、「ウン」は緊張を含ませて用いている。


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