道徳武芸研究 合気道と点穴と〜ユーチューブ時代の危機と可能性〜(5)

 道徳武芸研究 合気道と点穴と〜ユーチューブ時代の危機と可能性〜(5)

合気道の「気形」として扱われる神体は「肉体」ではない。霊的な力のルートである「脈」によって構成されている「霊体」を把握することが気形の稽古といえるが、これは太極拳の推手も同様である。その意味では推手のように手を触れるだけではあまりに微妙すぎて初心者はなかなか「脈」の存在を捉えることはできないであろう。やはり呼吸法のように両手を取った方が条件が限定される分、集中して「脈」の把握に務めることが可能となる。かつて大東流の堀川幸道は日曜には、最高クラスの師範には自宅に呼んで合気上げ(呼吸法)をやらせ、二三度試みさせると「だめだな」と言って稽古は終わったという。これは「脈」が取れているかどうかを見たものと思われる。それは堀川の大東流が他の系統よりもより「脈」を意識したシステムとなっていることでも分かる。ただ「脈」の稽古はそれが「肉体」へと繋がらなければ意味がない。「脈」をベースとする「霊体」の稽古の危険性はここにあるのであり、やはり特定の師範だけで許される秘教的な稽古とすることができるのかもしれない。


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