道徳武芸研究 合気道と点穴と〜ユーチューブ時代の危機と可能性〜(3)

 道徳武芸研究 合気道と点穴と〜ユーチューブ時代の危機と可能性〜(3)

富木流は柔道家の富木謙治によって創出されたものであるが、基本的には柔道の原理を用いるもので、本来の合気道のような間合い(呼吸)をベースとするものではない。そうであるから相手の意識を導く必要がないので、体の位置関係さえ技の求める通りに整えられれば掛けることが可能となる。そうした観点で柔道や古流柔術の技を参考に合気道の技が改変されており、ひじょうに分かりやすいものとなっている。ただ「実戦」においては、相手の「意識」を誘導することが最も重要であることも事実ではある。塩田剛三はロバート・ケネディのボディガードに対した時に、相手を座らせている。正座に慣れていない外国人が座れば重心はそれだけで前に傾いてしまう。その状態で相手を制することは実に容易である。かつて西欧に合気道や柔道の指導におもむく指導者には「試合をする時には道着を着させろ」と教えられていたという。慣れない道着を着せられてそれを使った技を仕掛けられると対応することが極めて困難であるからである。このように相手の戦闘意識を撹乱してそれを消失せしめることが重要なのであって、スポーツのように「互いが最高のパフォーマンスを行う」ことを目指す必要はないのである。


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