道徳武芸研究 合気道と点穴と〜ユーチューブ時代の危機と可能性〜(2)

 道徳武芸研究 合気道と点穴と〜ユーチューブ時代の危機と可能性〜(2)

ユーチューブなどで合気道の武術的な優位性を示すものとして使われるのが「関節技」である。特に立業で関節をとって投げるものがよく見られる。それは入身投げや呼吸投げが掛からないからでもある。入身投げや呼吸投げは特定の状況下でなければ掛けることができない。ただ、こうした傾向は合気道つまり関節技というイメージの定着につながるのではないかと思われる。しかし、この関節技も一定程度の鍛錬のある相手にはきわめて掛けることが難しいのである。植芝盛平の晩年に撮影された「王者の座」では屈強な外国人相手に初めは藤平光一が立業を掛けようとするが、合気道の関節技を掛けるのは難しく柔道のような動きでなんとか相手を制している。その次に登場した植芝盛平も演武のようにスムースな動きで技を掛けることはできない。なんとかねじ伏せた、といった感じである。おもしろいことにこうした動きは富木流に近いのである。それは稽古の時のように合わせて動いてくれることのない相手に技を掛けようとすると、どうしても柔道や古流の柔術に近いものとならざるを得ないということなのであろう。つまり合気道で唯一、有効とされる関節技による投げも実は使えないということが早晩、更なる「リアル」を求められる環境において露呈してしまう危険があるのではないかということである。


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