道徳武芸研究 八卦掌における変架子について(1)

 道徳武芸研究 八卦掌における変架子について(1)

よく「八卦掌はどの套路が正しいのか分からない」という声を聞く。形意拳にしても、太極拳にしても一定の系統であれば、類似した動きが見られるものであるが、八卦掌の場合は同じ程廷華の系統であってもその差異は少なくない。そうであるから「真伝を得ることが極めて困難である」ともされる。では何故、八卦掌では動きの差異が大きいのか。それは八卦掌というシステム自体に原因があるからである。八卦掌の套路は変架子が中心となっている。よく八卦掌には定架子、活架子、変架子の区別があるとされている。これは八卦掌の持つ世界観を示すものであって、ひとつにはシステムの違いであり、もうひとつは修行の階梯をこれをして表すことがある。修行の階梯としては定架子から始めて変架子、そして活架子へと至ることになる。これは一般的な拳術で母拳と砲捶、あるいは死套路、活套路と分けられることからは大きく異なっている。こうした二つに区分する場合には大体において基本と応用となっているのであるが、八卦掌ではそれに変架子が加わるわけである。つまりこのことは八卦掌が通常の拳術とは違ったシステムにより構築されていることを示しているのであり、これは八卦「掌」という名称とも深い関係がある。


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