道徳武芸研究 松竹梅の剣と正勝棒術(5)

 道徳武芸研究 松竹梅の剣と正勝棒術(5)

「さむはら」に関しては当時の「流行り神」である「さむはら(独特の字で表される)」との関連については前回に触れたが、またこれには神智学で超人(アデプト)の住むというチベットの某所にあるとされるシャンバラとの関連が考えられるのかもしれない。戦前には三浦関造が神智学を紹介しているし、戦後すぐに鞍馬寺の信楽香雲は、サナト・クマラの「クマラ」は「くらま」のことであるとして神智学的な教義を取り入れた鞍馬弘教を開いている。植芝盛平は超能力の開発に非常に興味を持っており、いわゆるオカルト系の人と多く関わりを持っていたようであるので、そうした中にシャンバラのことを語った人物も居たのかもしれない。言霊学でいうと「高天原」は「ta,ka,ma,ga,ha,ra」で「あ」の言霊のみによって成り立っている。一方「さむはら」は「sa,mu,ha,ra」で「あ」と「う」の言霊によって構成されている。盛平は「う」は「すーう」で澄みきりの言霊であると認識していた。そうであるから「たかまがはら」の「あ」の言霊に象徴される霊界において欠けていた、浄化の言霊である「う」が「さむはら」には備わっていることになる。因みに「たかまがはら」では須佐之男の命によって「う」の言霊の働きがもたらされたのである。


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