道徳武芸研究 松竹梅の剣と正勝棒術(4)

 道徳武芸研究 松竹梅の剣と正勝棒術(4)

さて松竹梅の剣の「松竹梅」が大本教に基づくものであることは既に触れたが、「剣」として象徴されているのは「天の叢雲(あめのむらくも)の剣」である。これは八岐の大蛇から須佐之男の命が得た剣とされている。植芝盛平は天の叢雲の剣の働きが地上に現れなければならないとしていた。これが大本教でいう「二度目の岩戸開き」となると考えたのであろう。天の叢雲の剣の働きを盛平が如何に重視していたかは、合気道の守護神として感得された神が「天の叢雲九鬼(くき)さむはら龍王」であることでも分かる。本来「天の叢雲」とは強烈な霊力を有する八岐の大蛇の上に棚引いていたとされる雲のことで、一種の霊雲とすることができる。「九鬼」は「九気」であり、これは九方向の気、つまり中央と八方(八岐)の気であるから、あらゆるところの気ということになる。龍王は八岐の大蛇のイメージと重なっている。ちなみに「さむはら」は戦中に流行していたいわゆる「流行り神」で、弾除けの利益があるとされていた神である。「弾除け」は武術では相手の攻撃を避けるということにもつながるので、合気道の守護神の名称としてふさわしいと感じられたのかもしれない。


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