道徳武芸研究 松竹梅の剣と正勝棒術(1)

 道徳武芸研究 松竹梅の剣と正勝棒術(1)

晩年の植芝盛平は剣や棒の練習に熱心であったようである。そうした中で松竹梅の剣と正勝(まさかつ)棒術が考案される。ただこれらには定まった形はないようで、晩年の弟子である引土道夫や藤平光一、斉藤守弘などがこれらを伝承しているが、それぞれ形は同じではない。盛平自身の演武でも違っているところが見られるので、形として固定されるべきものではなかったのかもしれない。これらは現在はその一部が合気剣、合気杖として一般には練習されている。因みに松竹梅の剣の「松竹梅」は大本教に由来しており、教祖の出口直は「三千世界一度に開く梅の花、艮(うしとら)の金神(こんじん)の世になりたぞよ」とする神からの教えをお筆先として受けて「神が表に現れて 三千世界の立替え立直しを致すぞよ」とする働きを担うものとして大本教を開くこととなる。盛平も「三千世界一度に開く梅の花二度の岩戸は開かれにけり」とする道歌を残している。一度目の岩戸開きは天照大神の神話にあるもので、大本教では大本教が二度目の岩戸開きをするとしている。これは一回目に次ぐ二回目ということではなく、二度目の岩戸開きこそが真の岩戸開きであると大本教では考えていたし、盛平も新たな境地を開くものとして松竹梅の剣と正勝棒術を位置付けていたのであった。


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