道徳武芸研究 形意拳の当身・七拳十四処打法(6)

 道徳武芸研究 形意拳の当身・七拳十四処打法(6)

七拳十四処打法の「当身」は塩田剛三の動きを見ればその実際を知ることが容易であるが、こうした体のいろいろな部位から発せられる力(合気道では呼吸力)は、どのようにして生み出されているのであろうか。形意拳では、十四処は七拳の左右(左右の手、肘、肩、胯、膝、足)と頭で十三処、それに臀を加えて十四処とする。臀は実質的には胯の応用とするこもできようが、こうした部位を用いて「当身」を行う。その力を得る秘訣も「七拳十四処打法」の歌訣には記されている。それは「脚打は七分、手打は三」である。つまり「当身」の力は歩法にあるということで、形意拳の独特な歩法が「当身」の力を生み出すわけである。これが端的に示されているのは連環拳の退歩崩拳(退歩横拳になることもある)である。一気に身を縮めて(束)、後方へ下る勢いで「展」を行って「当身」の勢いを得る。こうした歩法を用いて一気に「束」身から「展」身へと移行することで大きな力を発するわけである。(ちなみに塩田の演舞は動画サイトで簡単に見ることができるが、そこでは相手を引き落とすような「合気」が使われている。これは形意拳の「起落」と同じである。また見るべきは、このような時にも転身を殆ど用いることがないことで、こうしたところは特に形意拳的であるといえる)


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