道徳武芸研究 形意拳の当身・七拳十四処打法(5)

 道徳武芸研究 形意拳の当身・七拳十四処打法(5)

本来、大東流の「合気」は螺旋の動きを基本とするもので、相手を「合気」により動けなくさせて潰して絡め固めるものであった。これは大東流の根本が抜刀のための柔であり、抜刀を制しようとする相手を潰し絡めて動きを止めることを意図したものであったからに他ならない。この場合あくまで相手は抜刀してすぐに斬ることのできる範囲に留まらせておく必要があった。しかし大東流が柔術として広まるようになると、どうしても派手な投技が求められるようになる。またそれは剣術の裏技(抜刀を助けるもの)としてではなく、柔術技法として大東流を展開しようとする時には欠くことのできないものでもあった(相手に有効な場ダメージを与える)。当然のことであるが柔術においては相手を近くに逗まらせることに何らのメリットもない。こうした中で、強力な投げを行う力として盛平が発見したのが呼吸力であったのであり、それは当身としても使うことのできるものでもあった。しかし戦後、盛平は従来の神道や大本教、そして実戦武道としての合気の道を歩み続けることに困難と矛盾を感じて「愛の武道」としての合気道を模索するようになる。そうした中で動きは呼吸力の直線的なものから、合気の螺旋的なものへと移って行ったのである。


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