道徳武芸研究 形意拳の当身・七拳十四処打法(3)

 道徳武芸研究 形意拳の当身・七拳十四処打法(3)

三才式で「静」を練っている時にどのようなことが心身に生じているのであろうか。それは体の中心軸への力の蓄積である。これを形意拳では「束身」と称する。あるいはこのことは「丹田に気が集まる」というような言い方で形容されることもある。また「先天真陽の一気が発動した」とされることもある。形意拳の「七拳十四処打法」の歌訣には「束展の二字は一命を亡ぼす」とある。ここでの「束」は形意拳でいう束身である。これで体の中心軸に力を溜めるのである。そして束身から一気に展開することで大きな力を発することが可能となる。この「束ー展」の身法が七拳十四処の打法つまり形意拳の当身のベースとなっていると、この歌訣は教えているのであり、これにより通常の打法と「当身」とはベースとなる心身の使い方に違いはないことを知ることができる。更に論を進めるなら、こうした打法と「当身」の一連のシステムは形意拳においては「明、暗、化」としてその違いが示される。この中の「明」は普通の打ち方で、威力は最も大きい。一方、「化」は威力はその程ではないが、意外性が高く相手の心に大きなダメージを与えることができる。これが「当身」の打ち方ということになる。


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