道徳武芸研究 「守破離」と「精気神」(3)

 道徳武芸研究 「守破離」と「精気神」(3)

静坐では始めに「煉精化気」を説く。これは既に述べたように「精=肉体」から「気=感情」へのアプローチで、武術では「技」の習得を通して感情をコントロールしようとする。これは「守破離」であれば「守」の段階となる。次は「煉気化神」で、ここでは「気=感情」を通して「神=意識」のコントロールをしようとする。自分の感情を客観視することで、意識のあり方もそれを客観視できるようになる。そして「煉神還虚」では「神=意識」を通して、より囚われのない心身を得ようとするわけである。そして最後は「還虚合道」となる。これは囚われのない心身の働きが、そのまま正しい道と一体となった状態であるということが示されている。こうした修行の階梯の根幹となるのは肉体、感情、意識を「見つめる」ということである。そのためには太極拳のようなゆっくりした動きであることが望ましい。ここで重要なことは、動きの速さである。太極拳の動きは「快」から「慢」まであるが、どのくらいの速さで練るべきかの答えは「中庸で」ということになる。その時の自分の心身に適した速度で練るわけである。「適した」というのは、肉体や感情、意識をよく「見つめる」ことのできる速さということである。これは遅すぎると散漫になるし、速すぎると深く見つめることが難しくなる。


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