道徳武芸研究 御信用の手は合気上げである〜矛盾概念としての「合気」から〜(8)

 道徳武芸研究 御信用の手は合気上げである〜矛盾概念としての「合気」から〜(8)

日本の古武道と称されるものには剣術を初めとして柔術、槍術、杖術、棒術などいろいろな種類があるが、何故か柔術だけがこれを「やわら」と読むことが慣習としてある。他の剣術などにはこのような仮名での特別な読み方は無くあくまで音読みの「けんじゅつ」としか読まないのである。これは柔術の根底には「やわら」という概念のあることを暗示しているのではなかろうか。つまり柔術は「やわら」から派生して来た徒手技法であるということが分かるのである。「やわら」は聖徳太子の十七条憲法の第一にも「和(やわらかき)」をして争いを止めるように教えており、ここに「やわら」の淵源を見ることができるわけなのである。つまり「やわら」とは相手を制圧するのではなく、相手との諍いを回避する方法として示されているのであり、御信用の手もこうした「離脱」法であることが明確に意識されなければならないわけである。


このブログの人気の投稿

道徳武芸研究 八卦拳の変化と蟷螂拳の分身八肘(8)

道徳武芸研究 改めての「合気」と「発勁」(6)

道徳武芸研究 八卦拳から合気道を考える〜単双換掌と表裏〜(4)