徳武芸研究 手印と静坐(9)

 徳武芸研究 手印と静坐(9)

静坐で用いられる手印は両掌を重ねたものが多いように思われる。これは坐禅でも同じような印を結ぶ人が中国では多いようであり、坐禅でも印を厳格に結ぶことはそれ程、重視していないように思われる。また中国での一般的な礼法で用いられる叉手(さしゅ)といわれるものに近い「印」が用いられることもある。日本の坐禅でも白隠の系統ではこの「叉手」といわれる印を組むことがある。これは煉丹術では太極手であるとか八卦手であると称されている。ようするに静坐では「静」を得て「敬」を体得することで本来の自分のあり方である「性」を知れば良いのであって、形式は導入時には必要であるが、そうしたものは適度に調整して崩しても構わないと考えている。これは武術の套路も同様である。静坐では「最後の儒者」などとして南懐瑾が台湾などで評価する人が少なくないようである。また因是子静坐法も現代的な方法として実践されている。静坐についてはまた中嶋隆蔵の『静坐 実践・思想・歴史』があり広く文献を渉猟しているが、著者の説明では実際の修行に直接資することはないが、引用されている文献からは得るものが少なくないであろう。


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