道徳武芸研究 手印と静坐(6)

 道徳武芸研究 手印と静坐(6)

法界定印と阿弥陀定印は等しく定印(瞑想のための印)であり同じ系統に属するものということができるであろう。阿弥陀定印では親指と人差し指で「輪」を作る。これを膝に置けばヨーガの智慧印となるわけで、ヨーガの手印は阿弥陀定印の系統に属するものと考えられる。親指と人差し指で「輪」を作る印は上品とされ、中指とであれば中品、薬指とでは下品とされる。実際に瞑想をしてみると上品の印が最も適当であるように感じられるが、中品、下品で瞑想をする人も居る。これらの違いは親指へのストレスの生じさせ方の差異によるもので、どれが良いというわけではない。ただ上品の阿彌陀定印は人差し指と親指で「輪」を作り更にそれを合わせることでひじょうに安定したストレスを親指に生じさせることが可能となる。そのためかなり強力に背骨を立てることができる。クンダリニーの覚醒や小周天の完成を促すにはひじょうに有効と思われる。興味深いことにヨーガの智慧印は古い図像にそれを見ることがなかなかできない。東京国立博物館の東洋館にはアジア各地の仏像、神像が多く展示してあるのでそれらを見ているが、大体は法界定印が結ばれている。膝の上で智慧印を汲むのは座が安定してい良いのであるが、その流行はヨーロッパ経由の「ヨガ」によるものなのであろうか。


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