徳武芸研究 手印と静坐(4)

 徳武芸研究 手印と静坐(4)

初めに瞑想における手印の整理をしておくと、これはおもしろいことであるが、その系統は密教の金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅に代表されるものに大別されるのではないかと考えられるのである。金剛界と胎蔵界は共に空海が招来した曼荼羅であるが、本来は別々の系統で伝えられていたものとされており、これが中国で「一体」と考えられるようになって、日本では「金胎不二」などと称されている。金剛界も胎蔵界も共に中心に居るのは大日如来であるが、金剛界の大日如来は智拳印が、胎蔵界では法界定印が結ばれている。法界定印の「定印」は、つまり「瞑想(定)のための印」という意味で、仏教では最も多用されている。釈迦などもこの印を組んでいる。これはいうならば「止」の印とすることができよう。一方の智拳印は真言と観想(イメージ法)、手印が組み合わされるもので、これにより大日如来と一体化する多分にバラモン教的な色彩の濃い印となる。例えば不動明王なら不動明王で真言、観想、手印があり、対象とする神格と一体化しようとするわけである。これはいうならば「観」の瞑想ということができよう。イメージ(観想)によって神格を現前させて願いを叶えようとするわけである。


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