道徳武芸研究 中国武術の中の教門武術(1)

 道徳武芸研究 中国武術の中の教門武術(1)

この時期になると岡田明憲氏のことを思い出す。岡田氏はゾロアスター教の研究家で、武術にも詳しい。同氏とは三十年ほど前にある人の紹介で知己を得た。それ以来、年に二度、三度お会いするくらいの付き合いであったが、この時期には決まって調布のシャノアールという喫茶店でお会いしていた。また布多天神社の境内で譚腿や形意拳、八卦掌の演武を所望されたこともあった。そして九華派の儒教的な側面を高く評価されていた。当時は儒教よりも道教の方が優れていると思っていたので、岡田氏の言われることが充分に理解できなかったこともなつかしく思い出される。同氏はもともと少林寺拳法の修行をされており、極真会との「抗争」の時にもいろいろと動いておられたと聞いた。岡田氏との交流は二十年ほど続いたが数年前に急逝された。その頃に一時期、新陰流を修行されていたこともあった。中国武術では特に「イスラム系」と言われる譚腿や形意拳に強い興味を示された。これらの拳法が柔術的な擒拿としての展開も可能であること、また一手、一手が分かれていて漢族の武術のような一連の套路にはなっていないことなど、日本の武術との類似性を考えておられたようであった。イスラム教は教団として日本に入って来ることはなかったが、中国では回教徒、回族が一定数居て、中国武術でも「教門」として高い評価を受けている。譚腿や査拳、八極拳、通臂拳、形意拳など数多くの名拳とされるものが回族と関係の深いものとして知られている。


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