道徳武芸研究 站トウ、試力、試声と自衛(上)

 道徳武芸研究 站トウ、試力、試声と自衛(上)

意拳の王キョウ斎は「意拳要述」で意拳の練習階梯について次のように述べている。それは站トウから初まり試力、試声を経て自衛に至るもので、修行の階梯としては形意拳そのものということができる。王は站トウについて、意拳の「基礎練習」であるとし、精神の鍛錬、呼吸の調和、血液の円滑な循環、筋肉の緩めなど、健康を保つ上で重要なものが得られるとしている。次に試力、試声については、攻防の基本法則を体得するためのもので、試力には「蓄力、弾力、驚力、開合力」など多くの形があるとされている。またこれらは相手をつけて試すことで体得される。王の挙げているこれらの「力」はひじょうに重要なものばかりで通常は形意拳の奥義秘伝とされるべきものであるが、ここで簡単に説明を加えておくと「蓄力」は「力を蓄える」方法である。形意拳では相手がこちらの攻撃を受けたなら、その接触点に「蓄力」を行う。そしてその一点から力を発する。一般的な攻防では攻撃を受けられたなら別の技で対することになるが形意拳は硬打を使うために、受けられたならそのままの体勢で相手を吹き飛ばす。「弾力」は弾むような力で、これにより寸勁を打つことが可能となる。「蓄力」からの発勁の時に「弾力」が使われる。「驚力」は瞬時にマックスの力を発する方法である。これに跟歩などの歩法を加えるとひじょうに有効な力の使い方となる。また「弾力」は冷勁であるとか浸透勁であると称されることもある。「開合力」は合気道でいう呼吸力と同じで、中国では「股勢」などと称することもある。間合いと身体の変更を用いることでこれを行うことが可能となる。試声は形意拳では古くは「雷声」などと称していたもので、具体的には「フン「ハーッ」などの発声をする。これは「吽」と「阿」であって、いうなら阿吽の呼吸とすることができるわけでるが、試声も力の集中を行うための方法である。そして最後の「自衛」は伝統的には対打、散手など、これにより間合いなどを練ることになっている。


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