「道徳武芸研究」に向けて(2)

 「道徳武芸研究」に向けて(2)

孫錫コンは「道徳武学」において、どのようなことをイマージしていたのかは、その著書『八卦拳真伝』に明確であろう。同書には程有龍(程派八卦掌)の肖像と並んで神仙道の趙避塵(先天派)の写真も掲げられており、その著書の後半は神仙道の静坐についての説明に多くが割かれている。また趙の『性命法訣明指』の弟子名簿には孫錫コンの名も見えているので、孫はかなり静坐を深く研究していたことが分かる。また趙避塵も秘宗拳をよく習得していた。武術と静坐は動功、静功として共に練習されることが多い。また本来、少林寺では坐禅と武術が行われていた。日本でも武術の稽古にあわせて坐禅をすることが近世あたりから行われるようになったが、それはある意味で自然な成り行きであったのかもしれない。ただ日本では「剣禅一如」などの観念的な説明はなされるものの具体的に坐禅と武術がどのような関係にあるのかが追究されることもなく、現在で武術において坐禅はあまり修されていないようである。


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