第五章 合気道奥義・山彦の道(13)
第五章 合気道奥義・山彦の道(13)
「山彦の道」については『植芝盛平と中世神道』で「同時」ということを日本神話から、また入身については八門遁甲などから説明をしている。そこで明らかになったのは「山彦の道」があくまで戦いを避ける、戦いから逃げるものであるということである。「山彦の道」を特徴的に知ることのできる練法に数人に囲まれた状態から脱出するというものがある。これは刀を持つ者と杖を持つ者が並んで囲みをつくり、一斉に中心にいる人物に攻撃を仕掛けるもので、中心に居る人物は囲んでいる多数の相手の一瞬の遅速を感得して(この部分が山彦に例えられる)、その乱れに活路を見出すことになる。私見によればこれこそが合気道の最終形態を示すものと考える。