第六章 正座と四股と馬歩(3)

 第六章 正座と四股と馬歩(3)

日本において坐り技が積極的に稽古されるようになるのは江戸時代の中期以降である。抜刀術でも正座の稽古の有効であることが認識されて、正座からの抜刀がよく練習されるようになった。居合は古くは居合腰とされる胡座のような坐法をとっていた。これは抜刀術が考案がれた中世の終わり頃には一般的な坐り方であった。近世になって正座が広く行われる以前は立膝や胡座が一般的であり、鎌倉時代の木造などでは足の裏を合わせたような坐り方をしている。おそらく正座での鍛錬は柔術から始まったのであろう。それが抜刀術にとり入れられたが、日常生活では正座の時には刀は腰から外している。正座からの抜刀は純粋に稽古のためのもので、坐っている状態から立ち上がることで足腰が鍛えられると考えられていたわけである。これはスクワットなどと同じ鍛錬であるとすることができよう。


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