第五章 合気道奥義・山彦の道(8)

 第五章 合気道奥義・山彦の道(8)

植芝盛平はこの宇宙はすべて「和合」によって成り立っている。そうであるから「引力」というものが存している。これは万有引力が認めれていることからすれば首肯される考え方なのかもしれない。あらゆる物体には引力が有されている。こうした力は人の攻防においては呼吸によって働くようになる。これが植芝盛平の悟った「合気の働きとしての呼吸力」である。引力は反対の力である斥力を生むが、これを使えば投げ技へと展開できる。大東流のような中心軸を攻める方法は引力を使うものではない。そうであるから合気道でいう「合気」は大東流の合気とは異なるものといわなければならない。ただ大東流でも「合気を使えば相手の手が離れなくなる」などということからすればここに「引力」が使われていると思われるが、確かにその一面はあろう。そうであるから植芝盛平は大東流から合気道を発見することができたのである。合気道では大東流の「合気」を「合気(理念)」と「呼吸力(技術)」に分けることでより理念的、思想的、宗教的な側面を伸ばすことに成功したのであった。


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