第三章 「純粋武術」の発見(11)
第三章 「純粋武術」の発見(11)
「動作の無意味化」を考える上でヒントとなったのが「内功」を養うとされていた形である。「内功」は太極拳などでよく言われるが、少林拳でも重視される。秘宗拳には長拳と称する「内功」を養う形がある。太極拳と少林拳で「内功」を養う場合に大きく異なるのは太極拳が「鬆」を旨とするのに対して少林拳は「剛」であることで、「剛」を練るには、それぞれの動作にかなり力を籠めて行う。これは易筋経においても同様である。「内功」の形は攻防のスタイルをとるが、そこでは攻防の意味は抽象化されている。それは「太極拳が実戦に使えるのか」という疑問を生み出すことにもなっていよう。太極拳の形は「内功」を養うものであるから、それがそのまま攻防の動きになっているわけではない。攻防の動きは抽象化され「無意味化」されているわけである。