第三章 「純粋武術」の発見(8)

 第三章 「純粋武術」の発見(8)

民国時代になると一部に「純粋武術」の模索をする人たちが現れて来る。それは「門派の弊害」と「国術の確立」という二つの運動とも関連していた。「門派の弊害」は清の始まるころの二百年前くらいまでは中国が最先端にあったともいえる科学文明が、民国の始まる二十世紀にはヨーロッパに大きく後れをとることになった。その原因が知識の共有にあるとされたのである。確かに近世の二百年間に中国でも実に目覚ましい発明、発見があった。しかし例えば数学における大発見もそれは「秘伝」とされて、他の分野に活かされることがなかった。また建築で大きは発明があっても、これも「一子相伝」となって他に伝えられ発展することがなかったのである。そうしたこともあり武術でも門派がそれぞれ技術を秘密にしていたのでは、将来が無い、と思われるようになった。そのため国家的なプロジェクトしての国術館政策などが模索されるようになる。これは日本の柔道に習ったもので、結局は武術を強い軍隊を作る基礎としようとする意図があったことも間違いのないことである。

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