第四章 合気道技法の「実戦性」とは何か(8)
第四章 合気道技法の「実戦性」とは何か(8)
嘉納治五郎が構想していた柔道は「やわら」の理念を核とした「日本武道の総合」にあった。それは一般に見られる組んだ状態のものに加えて、離れた状態から始める離隔法も必要とされ、そこに合気道の技法が求められた。他に武器に対するものも考えられた。また当身にかかわる技法は空手が参考にされた。これらは講道館護身術、五方当などとして残されているが、その多くは形式的な伝承に留まっている。嘉納は「やわら」の考えをベースとしてあらゆる古流を見直すことで最高の日本の武道を講道館で構築できると考えていたようなのである。